天皇号が成立するのは7世紀後半であるが,本書では便宜上,天皇号成立以前についても大王に天皇の称号を用いる(実教出版『高校日本史B新訂版』)
こんな内容が教科書の欄外の註に以前から掲載されていたのだろうか。自分が高校生の頃の山川の用語集を見てみると,天皇号の成立は推古朝の頃からとあるが,高校生の頃はそこまで言葉に厳密ではなかった。大仙古墳は仁徳天皇陵と呼んでいたし,欽明天皇の頃に仏教が伝来したと言っても普通に受け入れていた。
しかも,「7世紀後半」と書いていると言うことは,推古朝で天皇号が成立という考えも否定しており,天武・持統朝での成立を意識した書き方になっている。今の山川の用語集でも,「律令制が急速に整備され,君主が神格化されるようになった天武・持統朝頃,その段階にふさわしい君主号として,道鏡の神,天皇大帝に由来するという天皇号が採用され,飛鳥浄御原令で正式に規定されたとする見方が有力」と書いている。今の教科書では天武天皇の時代に関する記述が少ない気がするが,絶対的な王権の確立とか古代国家の完成型と言える律令制度の創設など,彼の功績はとっても大きいのではないかと思う。
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