伊藤之雄『日本の歴史第22巻 政党政治と天皇』(講談社,2002年9月)を読書中,関東大震災に関する記述を読んで,現在のいわゆる派遣切りを受けた人々に対するバッシングを批判するブログのエントリーを思い出した。
このエントリーでは,派遣切りを受けた人々へ救済の手をさしのべる状況を「自己責任だから必要ない」と批判する人々には,過酷な労働条件と低賃金を耐えている正社員の人達が多いのではないかと指摘している。
そんな「弱者が弱者を叩く」風潮に対して,叩く相手を間違っているのではないかという意見はもっともだと思う。
さて,最初に紹介した関東大震災中におこなわれた中国,朝鮮人に対する虐殺事件に関する記述を下に引用する。
これら虐殺の参加者は,鳶職・桶屋・馭者・人力車夫・行商・日雇いなど,収入や社会的地位が低く都市で日常的に抑圧感を感じて生活している下層民衆であった。これらの職業の人々は,日頃は人情味のある都市の庶民社会を形成していたが,時にはその一部がこうした行動を起こすこともあった。
コメント